オーケストラ作品の中でも力強さと抒情性が共存する名曲として知られる、シューベルトの《交響曲第9番 ハ長調 D.944（通称：グレート）》は、管弦楽器の魅力が随所にちりばめられた壮大な作品です。その中でも、オーボエがメロディを担当する箇所は特に印象的で、シューベルトが木管楽器に込めた“歌心”を体感できる瞬間でもあります。
「グレート」は大曲であるため、全体を吹くのは難しいですが、初心者でも取り組めるフレーズやパートがあります。この記事では、この作品がどんな曲なのかを紹介しつつ、オーボエでの演奏ポイントや練習方法をわかりやすく解説します。最後には、佐藤先生のオーボエ講座を活用して、動画とテキストで効率よく学ぶ最短ルートもご案内します。
「セレナーデ（シューベルト）」ってどんな曲？
「セレナーデ」は、フランツ・シューベルトが作曲した歌曲集『白鳥の歌』の中の一曲です。ドイツ語の原題は「Ständchen」で、「小夜曲（さよきょく）」を意味します。夜に恋人の窓の下で歌われるような、しっとりとロマンティックな雰囲気が特徴です。
この曲は、元々はテノール独唱とピアノのために書かれましたが、その美しい旋律はすぐに多くの楽器に編曲され、世界中で演奏されるようになりました。特に、弦楽器や管楽器での演奏は非常に人気があり、オーケストラやアンサンブルでもよく取り上げられます。
静かで穏やかな導入から始まり、次第に情熱を帯びた歌い上げへと発展していく構成は、聴く人の心を惹きつけます。シンプルなようでいて奥深く、感情豊かな表現が求められる名曲です。オーボエの音色は、この曲の持つ切なさや優しさを表現するのに非常に適しています。
オーボエで初心者が「セレナーデ」を演奏する時のポイント
オーボエは「世界一難しい木管楽器」とも言われることがありますが、ポイントを押さえれば初心者の方でも美しい音色を奏でることができます。特に「セレナーデ」を演奏する際には、以下の点に注目してみましょう。
息のコントロール（ブレス）
オーボエは少ない息で効率的に音を出す楽器ですが、美しいロングトーンやフレーズを繋げるためには、安定した息のコントロールが不可欠です。「セレナーデ」はゆったりとしたテンポの曲なので、焦らずにたっぷりと息を吸い、一定のスピードで息を送り続けることを意識しましょう。
音の立ち上がりと消え方
オーボエの音は、アタック（音の立ち上がり）がはっきりとしすぎると硬い印象を与えてしまいます。特に「セレナーデ」のようなロマンティックな曲では、柔らかく、自然な音の立ち上がりを心がけましょう。音の消え方も同様に、急に途切れるのではなく、優しくフェードアウトするように意識すると、より表情豊かな演奏になります。
ロングトーンの練習
美しいメロディーを歌い上げるためには、安定したロングトーンが非常に重要です。まずは無理のない範囲で、ゆっくりと長く音を伸ばす練習を繰り返しましょう。音程が揺れないように、そして音色が一定に保たれるように意識してください。
フレージング
「セレナーデ」は歌のメロディーなので、歌詞があるかのように歌うことを意識すると、より感情がこもった演奏になります。どこで息を吸うか、どこを強調するか、どこをなめらかに繋げるかなど、フレーズのまとまりを意識して練習しましょう。
リードの調整と選び方
オーボエの音色はリードに大きく左右されます。初心者の方は、まずは安定して音が出しやすい、比較的開きが広めのリードを選ぶと良いでしょう。また、リードは日々状態が変化するので、その日の状態に合わせて微調整する習慣をつけることも大切です。
実際の練習方法
それでは、具体的な練習方法を見ていきましょう。
音階練習で基礎を固める
まずはC MajorスケールやG Majorスケールなど、基本的な音階練習から始めましょう。正確な運指と、均一な音色で吹けるように心がけてください。ゆっくりと、それぞれの音を丁寧に確認しながら練習します。
ロングトーンで息と音色を安定させる
各音を4拍、8拍と伸ばすロングトーンの練習を毎日行いましょう。メトロノームを使って一定のテンポで、息が途切れないように、そして音程がぶれないように集中して吹きます。唇の形（アンブシュア）や息の圧力を意識し、豊かな音色を目指しましょう。
「セレナーデ」のメロディーをゆっくりと吹いてみる
楽譜を用意し、まずは一音一音、ゆっくりと音を出してみましょう。指がスムーズに動くか、息は途切れないか、音は正確に出ているかを確認します。焦らず、完璧を目指すよりも、まずは「音を出す」ことに慣れることが大切です。
フレーズごとに区切って練習する
曲全体を一度に演奏しようとせず、数小節ごとのフレーズに区切って練習しましょう。一つのフレーズが吹けるようになったら、次のフレーズへ、と少しずつ範囲を広げていきます。各フレーズの終わりと始まりが自然に繋がるように意識してください。
音源を聴きながらイメージを掴む
色々なオーボエ奏者の「セレナーデ」の演奏を聴いてみましょう。どのように歌い上げているか、どんな音色で吹いているかなど、自分なりのイメージを膨らませることが上達への近道です。
録音して自分の演奏を客観的に聴く 自分の演奏をスマートフォンなどで録音し、後で聴き返してみましょう。自分では気づかない癖や、改善点が見つかることがあります。客観的に自分の音を聴くことで、より効率的な練習に繋がります。
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オーボエは、音の出し方や息の使い方、音程の微妙な調整など、文章や譜面だけでは伝わりづらい楽器です。特に「グレート」のように、旋律の“うたい方”が演奏の印象を左右する曲では、良いお手本を見て真似することが何よりの近道になります。
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シューベルトの《交響曲第9番「グレート」》は、その名の通り“偉大な”スケールと感情の広がりを持った作品です。その中でオーボエが奏でる旋律には、哀愁や優しさ、希望といったさまざまな感情が込められています。
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